依存症に負けない大人の習慣化のコツ

エッセイ

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1.大人が取り組む習慣化

社会的な習慣と私的な習慣 


 私たちは、生活に必要な基本的な習慣を、子供時代にしつけられて成長する。毎日決まった時間に起き、挨拶し、顔を洗い、歯を磨き、箸を上手に使って食事し、トイレで排泄し、服を着替え、出かける際は交通ルールを守り、道を間違えずに帰宅し、決まった時間に寝る。 

 こういった行動を小さいときから繰り返し行い、頭で深く考えなくても、自動的に実行できるまでに習慣として身につけている。
 
 大人になっても習慣化は必要である。上記の基本的な習慣が、大人になっても十分に身についていない場合、それを正すことは大人になっても当然ある。しかし、大人になってからの習慣形成の多くは、上記の基本的な生活習慣とは身につける内容が異なる。 

 大人になって身につける習慣には、大きく分ければ、社会的な習慣と私的な習慣の2つがある。
 
 まず、社会的な習慣として、すぐに思い浮かぶのはビジネスマナーである。学校を卒業して社会人になれば、言葉使い、電話・メールの仕方、会議での発言の仕方、飲み会での応対など、ビジネスマナーを会社で徹底的に指導され、習慣として身につけていく。
 
 また、人との会話を円滑にするために、普段からニュースをチェックしたり、読書や新聞購読など行い、教養を身につけることも社会的な習慣になるだろう。ある意味、普段の仕事を当たり前のようにこなせるようになることが、社会的な習慣を身につけることとも言える。
 
 このほか、就職に伴って新しい土地に引越したり、大人になって地域の活動に参加するようなると、自分の住む地域のルールや慣習を身につけなければいけいない。これも社会的な習慣づけである。
 
 一方で、私的な習慣づけの主なものは、生活や健康面に悪影響が出る悪習慣や人に迷惑が掛かる悪い癖を改め、それらを二度と行わない、あるいは必要な行動をするといった、正しい生活態度を習慣づけるものになる。 

 例えば、お金の管理をしない、衝動買いするなど生活に悪影響が出る悪習慣を直したり、運動をしない、喫煙、過度の飲酒など、健康に悪影響が出る悪習慣を改めたり、通行時に人の迷惑になる歩きスマホを止めたりすることが挙げられる。
 
 このほか、プライベートな習慣形成には、趣味や嗜好で特定の行動を習慣的に行うものがある。それらは本人が好きで行ううちに、勝手に習慣が身につくので、習慣形成の困難はない。



私的な習慣化の難しさ


 社会的な習慣については、子供時代にしつけれる部分があったり、会社からの指導や近所付き合いの縛りもあるので、子供時代の習慣形成と同様に強制力が働き、大人になってからも習慣化し易い。
 
 しかし、私的な習慣の中の、悪習慣をやめて正しい生活態度を習慣付けるケースでは、その習慣化の必要性を頭で理解できても、習慣づける行動を起こすことが難しい。あなたにも、習慣化したいができていないことの1つや2つはきっとあるだろ。
 
 大人が取り組む習慣化の中で、特に私的な習慣化が難しいのは、習慣づけの過程で強制力が働かないためだ。

 サイトの冒頭で述べたように、習慣化というのは、同じ行動を習慣として定着するまで繰り返し続けることである。この過程では、自分がその行動を好きか嫌いかいう気持ちとは関係なく、強制的にその行動を継続する必要がある。 

 あなたも子供時代を振り返れば、生活の基本習慣をしつけられる段階では、親や先生の強制力があったおかげで、基本行動を身につくまで繰り返すことができたはずだ。
 
 しかし、大人になると、プライベートな事には基本的に外部から干渉が無くなるので、習慣化を促す強制力が得られない。したがって、大人になってからのプライベートな習慣化は、自主的な努力が求められ、難しいものになる。
 
 さらに、習慣化を困難にする要因がある。それはプライベートな習慣形成で改善する対象の多くが、喫煙や飲酒といった依存性が強いものだということだ。 

 これらの依存症は生理的な症状で、その行動を行う度に脳内の神経の働きで快楽を感じるため、習慣的にその行為を繰り返してしまう。一旦その行為の依存状態になると、その行動を繰り返す状態から抜け出すのは容易ではない。
 
 以上の難しさを考慮すると、大人になってからの習慣形成では、悪い依存症に打ち勝つための仕組みを作ることがどうしても必要になる。 

 本サイトが取り上げるテーマは、悪い依存症を克服して正しい生活態度をいかに身につけていくかにある。次のページでは、そのしくみ作りに欠かせない、依存症と恐怖症について説明する。